ファーバー・カステルの描き味
鉛筆の誕生は16世紀まで遡ります。イギリスの鉱山で良質の鉛が発見され、細かく切った握りの部分を紐で巻いたりして筆記具として使われ始めたのが最初のようです。
その後1760年にドイツ人のカスパー・ファーバーにより、黒鉛の粉末と硫黄を混ぜて溶解し練り固めて棒状にする手法が考案されました。この人こそ現存する世界最古の筆記具メーカー「ファーバー・カステル」の創業者です。同社が始めた鉛筆の社名刻印や六角軸、太さや長さなどは現在の鉛筆の基準とされています。今では鉛筆の原料であるカリビア松を10,000ヘクタールもの広さの森で育てています。この木で製造された色鉛筆やパステルなどの画材は芸術家から高い評価を受けています。
芸大でデザインを学んでいた僕は、当時流行りのアクリル絵具やエアブラシが今ひとつしっくり来なくて、子供の頃から描いていた色鉛筆を使っていこうと思いました。その時、画材店で出会ったのがファーバー・カステルの色鉛筆でした。いろんなメーカーの色鉛筆が並んでいる中で試し描きしたところ、その滑らかな描き味と重ねた時の色の美しさで感動したことを今も覚えています。ただしその分、値が張ります。B全(728mm×1030mm)の大きな紙の隅々まで色鉛筆で描いていたのでよく使う色の減りが早く、貧乏学生の僕は一本ずつバラで買っていたことを懐かしく思い出します。
今は60色入りのファーバー・カステルの色鉛筆を持っていて、存分に描く環境になっています。そうなると逆にあまり筆が進みませんが、去年お世話になった先輩に似顔絵をプレゼントして大変喜ばれたので、改めてこれからもこの色鉛筆で人に喜ばれる絵を描いていこうと思っています。
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