大黒柱は家も家族もしっかり支える
昔から、家族を背負って立つお父さんは「一家の大黒柱」と呼ばれてきましたが、令和の時代ではお母さんがその役割を担っている家庭も珍しくありません。語源は、日本の伝統的な木造建築の「大黒柱」からきています。その語源には諸説あり、七福神の大黒天にちなむという説、大黒天が祀られている台所の土間に立っていることが多いことから来ている説、古くは朝廷の大極殿柱から来ているという説などがあります。
日本家屋では大黒柱を基準に骨組みや構造体が組み上げられ、家を支える重要な役割を担ってきました。通常の二階建て住宅の場合、大黒柱の長さはおよそ6m。一本の木からとり出され、大工さんが鉋などを使い大黒柱へと仕上げます。大黒柱の材としては、その強固さからケヤキもしくはヒノキを使います。ケヤキの柱なら100年以上、ヒノキならば150年以上が目安になります。様々な条件で育った木々の中から厳選されたものだけが日本家屋の大黒柱として使われます。
その存在感に、誰もがつい触りたくなってしまう。そうすると、自然と家族が大黒柱を囲むようになります。建物だけではなく、家族の中心にもなります。そんな家と家族にとって重要な役割を担っていた大黒柱ですが、現在ではほとんど見られなくなりました。建築工法が多様化したことで、建物の構造が変わり鉄筋コンクリートの住宅や壁や筋交いなどを入れることで、大黒柱の必要がなくなったというのが主な理由です。一方では建築材としての木材が見直されている今日、国立競技場や公共施設、ホテルやビル等にも使われ始められています。これからは伝統的な日本家屋も見直されるのではないでしょうか。
「柱のキズはおととしの〜」から始まる童謡「背比べ」。お子さんの成長を大黒柱に刻む歴史は、その家の歴史とも重なり、この先もずっと消えることはありません。今後も住み続ける家への愛着と家族の物語をしっかりと大黒柱が支えます。
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