寿司屋の格はカウンターで決まる
寿司はもともと川魚を米などの穀類を炊いたものと一緒に漬け、米の発酵を利用して魚を保存した保存食です。現在でも近江地方などでは、甘酢で味付けした米飯に鮒や鮎などを一晩寝かせた「なれずし」として親しまれています。
江戸時代末期に江戸で流行していた寿司の屋台から、握ったらすぐに食べられる「にぎり寿司」が生まれ、江戸前(東京湾)でとれる魚介や海苔を使うことから「江戸前寿司」と呼ばれるようになりました。明治時代までは屋台が中心でしたが、屋台で生ものを扱うことが禁止されたことで、店の中で屋台を持ってきて寿司を提供するようになりました。屋台の形式がそのまま残り、現在も寿司屋で採用されているカウンターになったと言われています。
寿司屋の格はカウンターで決まると言われるほど重要です。大将にとって、カウンターはステージであり、そのパフォーマンスをより一層引き立てるものです。大将とお客様がカウンター越しにする何気ないやり取りが、寿司の旨みとともに味わい深く店内に心地よく響きます。
写真は北新地の寿司屋で、カウンターは吉野杉の一枚板のカウンターを採用されています。
吉野杉は多々ある杉の中で、高級ブランド材の一つとして有名です。綿密に真っ直ぐ伸びる年輪模様が美しく、無節、色目の良さなどから、用材としても高く評価されてきました。
檜や桜と比較すると軽く、加工もしやすいので様々な商品に使用されています。
コロナ禍のせいで人工的なアクリル板とノンアルコールは残念ですが、先付けから始まり、鯛、鮃、しめ鯖、帆立、鮪の赤身、中トロなどのネタ、シャリの温度、大きさ、ワサビのバランス、締めの赤出汁、どれをとっても絶品でした。外食自体、寿司自体が久しぶりだったのですが、吉野杉のカウンターの手触り感も品良く、大将も実直な寿司職人という感じで、極上の時間を過ごすことができました。
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