建築に「木」を。木造化推進法が後押し。
今回は、Kikumi Kusumoto/Ks ARCHITECTSの建築設計家、楠本菊実さんにお話を伺いました。建築の世界では大変革が起きているとのことです。というのも2010年に林野庁の木造化推進法が施行されて以来、学校や庁舎などの公共建築物は木造にすることが求められてきました。さらに、2021年には木材利用促進の対象を公共建築物から民間建築物を含めた建築物一般に拡大するための法改正が行われました。
なぜ建築物の木材利用を進めたいのかというと、一つ目の理由は、日本の森林資源の状況です。日本は世界有数の森林国で、国土の3分の2が森林で、その4割に当たる約1000ヘクタールの人工林が樹齢50年を経て、今まさに使い時を迎えています。
二つ目の理由は、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする「カーボンニュートラル宣言」です。街の中に木の建築が増えると、都市が第二の森林になり二酸化炭素を貯蔵できるということになります。資材製造時のことを考えても、鉄やコンクリートと比べて木材は製造時のエネルギーが少なく、木材利用は地球温暖化対策や脱炭素社会の実現に大きな役割を果たすと考えられています。
設計で感じる木の良さはたくさんあります。鉄やコンクリートと比べて木は軽いので、基礎への影響が小さく、うまく使えば建設コストを削減できるし、工期も短縮することもできます。外装材や内装材に関しても、木には断熱効果や調湿効果、遮音効果があって熱や湿気や音に対して効果的であること、さらにアトピーやシックハウスなどのアレルギー症状に対しても効果があることも科学的に証明されています。
実際に以前、施主の子供さんがアトピーで、床・壁・天井の内装に全て無垢板を貼ることによって症状が治ったとのこと。やはり天然自然の素材には敵わないようです。
次回からは、楠本さん設計の「木」を効果的に使った物件をいくつか紹介していきます。
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