式年遷宮で繰り返される永遠の祈り
伊勢神宮には内宮にも外宮にもそれぞれ東と西に同じ広さの敷地があり、式年遷宮は20年に一度宮処を改め、古例のままに社殿や御装束神宝をはじめ全てを新しくして、大御神に新宮へお遷りいただく神宮最大のお祭りです。1300年にわたり繰り返されてきた式年遷宮は、20年に一度造り替えられる常に瑞々しい御社殿で、永遠に変わらないお祭りが行われることに大きな意義があります。平成25年には62回目が古式のままに行われました。
宮域林と呼ばれる神宮の森は、内宮のほとりを流れる五十鈴川の上流に位置し、約5500ヘクタールあり、一般的には「神宮林」と呼ばれています。神宮では、大正12年(1923)から将来の遷宮を見据えて、御造営用材の自給自足を目標として「神宮森林経営計画」を策定し、200年生のヒノキの育成に取り組み、約100年が経過した今日でもその計画は続いています。
伊勢神宮の建築様式は、弥生時代から伝わると言われる「神明造り」。正殿については特別に「唯一神明造り」と呼ばれています。特徴は、高床式で切妻造りの茅葺で、入口は平入り、柱は掘立柱で、両側に最も太い「棟持柱」があります。木材はヒノキを使用し、木を削っただけの素木(しらき)造り。正殿の両妻にある破風(はふ)板が屋根を突出し交差して伸びる「千木(ちぎ)」と、形が鰹節に似ていることが名前の由来とされる「鰹木」が屋根に載ります。
遷宮がなぜ20年に一度と定められたか、その理由には諸説ありますが、その説のひとつに「技術継承説」があります。20年という期間は、当時の寿命でも2度は遷宮に携わることができ、初めて遷宮を経験する次世代の技術者へ技術を継承していくのに合理的であるという理由です。
今後も20年に一度の遷宮は、繰り返し人々の永遠の祈りを支えていく事でしょう。
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