日本が誇る木彫で世界をめざす
前回のコラムに引き続き、木彫前田工房の前田暁彦さんが天神橋に拠点を移されてからの活躍をお話ししたいと思います。
前田さんは、2021年に法人化されました。個人事業主が当たり前であるこの業界での法人化は大変珍しく新しい動きです。というのは、木彫りに興味があるのに将来が不安で弟子が入らない、もしくは途中で諦めざるを得ない状況が業界を取り巻いていた。こういう状況から従業員が安心して働ける環境を作ろうと、一念発起されたということです。今では2名の若者が働いていて技術の伝承を繋げるための師匠として、法人の経営者として人脈を広げながら株式会社木彫前田工房を盛り上げられています。
法人化によって引き合いが増え、今やだんじり彫刻に限らず様々な商品ができ、木彫りの新たな可能性を開いてこられました。その芸術的木彫は、スペイン美術賞展の立体造形部門で優秀賞を獲られるなど素晴らしい評価を得られています。また近年はホテルのロビーの装飾などの商空間のアクセントとしての木彫の仕事も増えてきているとのことです。この夏もベトナムの日本をコンセプトにしたホテルの下見に現地に行かれるようです。
社長としての業務や技術伝承に日々奮闘して、自分の時間が全くない前田さんにとって木彫りは好きなことに集中できる貴重な時間です。日本が誇る木彫の明るい未来に向けて、一刀、一刀に熱い思いを込めて世界を目指して行かれることでしょう。
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