木琴の音色は、自然の心地よい響き。
打音楽器として代表的な木琴は、19世紀ヨーロッパではシロフォン、ラテンアメリカではマリンバとして音楽界に登場してきました。音を聞き比べると、シロフォンはくっきりとして、明るく硬質な歯切れの良い音が鳴ります。マリンバは柔らかくまろやかで、響きの豊かな深い音色が魅力です。
木琴は木の音板を持つため温度が上がると音程は下がり、また湿度が上がっても音程が下がるため、高温多湿の日本の夏においては非常に下がりやすくなります。一方で、共鳴筒の調律は温度の上昇とともに音速が速くなるため音程が高くなり、音板と逆の変化をします。
このため共鳴筒は、音板との距離を調節できる構造になっています。
シロフォン、マリンバ共に音板は主にローズウッド製が密度、強度、硬度から最も響きが良いのですが、他にはアフリカンパドック、樺、桜なども使用されています。音板材になるローズウッドは自然の素材ですから、その品質は一様ではありません。音板に適したものを選ぶのが大切になります。素材の状態でも叩いた時にボーンと音の余韻が長く伸びるのが良いので、そういった部材を選びます。
世界的な木琴奏者として戦前戦後にかけて活躍した平岡養一は、1930年にアメリカ留学中にNBCのオーディションでラジオ番組への出演が決定。この番組は放送回数が4000回に及び「アメリカ全土の少年少女は、ヨーイチ・ヒラオカの木琴で目を覚ます」と言われました。1962年にはニューヨーク・フィルハーモニーの独演者としてカーネギーホールへ日本人として初の出演を実現しました。今でも音源が残っているので、木琴の名演を是非聴いてみてください。
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