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摂津市鳥飼銘木町 原木・銘木・製材加工
株式会社 中喜

版木が生み出す日本独自の美の世界

浮世絵に代表される木版画は、日本独自の素材を用い、他の版式では表現できない木版ならではの鮮やかな発色と温かみのある風合いを醸し出します。木版画の無垢の版木には桜や朴、桂、梨などの広葉樹種の木材が向いているとされています。浮世絵の版木には伊豆の山桜が好んで使用され、目が細密で刃物が入りやすく当時最高の版材とされていました。
木口木版の版木には黄楊(つげ)や椿、梨、楓などの木材が使用されます。版木は通常、木を輪切りにされた大きさまでのサイズしか取ることができないため、桜や黄楊、樺を木口に切ったものを接着した寄木の版木も作られています。木口の版木を用いた木版画は、版木が板目よりも硬質なため、緻密で繊細な表現が可能です。
棟方志功はゴッホに感銘を受けて油絵画家を目指しましたが、ゴッホが日本の浮世絵に影響受けていることを知り、浮世絵版画がゴッホと結びついたと感じ、「版画こそ日本の芸術である」と確信して油彩画から木版画に転じました。
文字を画面に入れ込み、絵と文字を同次元に扱って統合させた独自の版画を確立した棟方は、「無私の心に咲く無名の美」を創作の根本として、素朴な情念や原始の呪術性、広大な宇宙観を簡潔なフォルムで版画に表現しました。
棟方は自らの木版画を「板画」と呼ぶようになりました。「板画」という言葉には、板の性質を大事に扱い木の魂を生み出さなければならないという思いが込められています。棟方にとって作品を作り出すことは「木に彫らせてもらう」作業だったのです。
1971年に放送された棟方志向の自伝「板極道」をもとに、なりふり構わず美の追求に没頭する棟方を渥美清が演じたドラマを思い出します。眼鏡が板につくほど顔を近づけてエネルギッシュに版画を彫る姿を、渥美清は鬼気迫る演技で表現していました。

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