盤上の攻防
2016年に史上最年少(14歳2ヶ月)でプロ入りした天才中学生棋士、藤井聡太君の登場で人気急上昇の将棋界。今や史上最年少で二冠(棋聖・王位)を奪取し、押しも押されもせぬ棋界のトッププロとして活躍を続けています。
さて、将棋の起源はチェスなどと同じく古代インドのチャトランガであると考えられています。諸外国でチェス類似の伝統的ゲームが数多くありますが、日本の将棋は独自の発展を遂げて、15、16世紀には現在の本将棋になりました。将棋史上で特筆すべきこととして、日本ではこの時期に相手側から取った駒を自分の駒として盤上に打って再使用できるルール、つまり「持ち駒」の使用が始まりました。この日本独自の持ち駒使用ルールによって、将棋はさらに複雑で奥が深くなりました。
将棋盤は縦横9マスずつ、計81マスで、大きさは縦一尺二寸(約36センチメートル)、横一尺一寸(約33センチメートル)で、厚さは脚付き盤で幅広くありますが、タイトル戦などは六寸から七寸(約20センチメートル)のものが多く用いられています。
使われる木は榧(かや)で、日本各地に生えている常緑針葉樹です。榧の中でも宮崎県の日向地方で産出された榧は最高級品で日向榧というブランドになっています。針葉樹としては硬めの材質で、指した時の駒音が心地よく、ほどよい弾力性、美しい木目、色艶、芳香に至るまで、将棋盤として最適の素材とされています。足付き盤のほとんどは梔子(くちなし)の実が象られた、八角形です。これは「口無し」に通じ、第三者の口出しを戒めるという意味があります。上面には漆でマス目を示す線が引かれます。タイトル戦などで使われる高価な将棋盤になると、「太刀盛り」という刃を潰した日本刀に漆をつけて線を引く技法が使われています。まさに真剣勝負で対局する棋士たちにとって、将棋盤は最高の舞台を提供してくれています。
NHKのEテレで日曜の10時から12時に将棋の時間があり、毎週楽しみに見ています。将棋の話題や棋士による講座、何よりNHK杯将棋トーナメントが持ち時間の短い早指しで手に汗握る盤上の攻防が、普段対戦しない組み合わせで行われています。藤井二冠はこの棋戦では珍しくあまり良い結果が出ていませんが、今年あたりは優勝するのではと期待しています。
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